「仮想と現実〜切なる願い」-「全日空ハイジャック事件」に関連して-
プライバシーを公開するのは本意ではありませんが、「本編」を書くにあたって、差し障りのない程度で、公開させていただきますと、私は玩具業界に身を置いております。
玩具とは、子供の成長には欠かせないものです。私も玩具には随分とお世話になったものです。それだけに、作る側は、社会的影響を考えて製作しなければなりません。
私もその業界の一人として、物を製作する時は、常に社会に対する影響を考えているつもりです。
作り手の意図とユーザーの受け取り方が一致し、その玩具で楽しんでいるユーザーの姿を目にした時は、非常に嬉しいものを感じます。そして、「作ってよかったな」とか「次はもっと楽しいものを作ろう!」という気持ちになるものです。
ところが、時々、作り手の意図と違った受け取り方をするユーザーがいます。
で、そのユーザーは、奇怪な行動に出るのです。それは時として、社会問題にまで発展し、最悪の場合は「犯罪行為」にまでつながることがあります。
先日、「全日空ハイジャック事件」が起こりました。乗客に犠牲者はありませんでしたが、機長が乗客の命とひきかえに、亡くなられるという、大変痛ましい事件でした。
容疑者は28歳の男性でした。
「飛行シミュレーションゲームが好きで、実際に操縦してみたかった・・・・」
これが容疑者の男性の犯行動機です。
「飛行シミュレーションゲーム」?!?!?!?!?!?!?!?!
私は、「またか!」と思ってしまいました。誤った受け取り方をしたユーザーが、また一人、犯罪を犯してしまったのです。私はため息が出ました。
「きっとまた、ゲームや玩具がやり玉に挙げられるだろうなぁ」と。
作り手側としては、誤った受け取り方をしたユーザーが、このようにして、殺人行為に及んでしまうと、非常に悲しい思いをします。こちら側のメッセージが正しく伝わらなかったのだろうか、作り方に問題があったのだろうか、、と。
又、正しい受け取り方をした、善良なユーザー達にとっても、大変迷惑な話なのです。
善良なユーザーまでもが、「同類」にされてしまうのです。せっかくの楽しみに、水をさしてしまうのです。
おもちゃの中の世界はあくまで「仮想」の世界です。
「仮想」と「現実」を履き違えてはいけません。
「現実ではちょっと実現するのは難しいかな?」と思うようなことや、「現実ではありえないだろう」というようなことを、ちょっぴり体験してもらえたら、、、、、、
そういう願いを込めて、おもちゃは作られるものです。ユーザーは、そんな作り手の願いをキャッチして、その上で存分に楽しんでほしいと思います。
「仮想」は「仮想」でしかないのです。それを「現実」にしようと考えてはいけません。その辺をわきまえた上で、自分と友人だけの世界で、楽しみをとどめてほしい・・・健全で正しい楽しみ方で・・
そう切に願っています。
「本編」を終えるにあたり、乗客の命を守るために、冷静かつ的確な判断で、職務を全うされ、しかしながら敢え無くこの世を去ることになってしまった、全日空の長島直之機長に対し、その勇敢な行動力に敬服いたしますと共に、慎んでお悔やみ申し上げます。どうぞ安らかにお眠り下さい。